介護保険制度における課題
導入の経緯について
介護保険制度は超高齢化社会を迎えている日本にとって、とても重要な役割を担っています。これは介護を利用する人たちはもちろん、介護職の人たちにとっても重要です。なぜなら、介護保険制度が介護職の低収入である原因のひとつとなっているからです。利用者だけでなく介護職の人たちにとっても重要な、介護保険制度について押さえておきましょう。まずは、介護保険制度が導入された経緯からみていきます。
介護保険制度が導入されるきっかけは、平均寿命が延びたことと高齢化が進んだことです。この変化に伴って「要介護高齢者の増加」「核家族化」「介護する家族の高齢化」「介護期間の長期化」などが生じます。これらは、家族だけでは介護を担うことが難しくなる時代の到来を意味しますので、要介護者を社会全体で支えることを目的に介護保険制度が導入されました。
介護保険制度の意味とは?
介護保険制度は生命保険と基本的に同じような意味合いを持ちます。生命保険に加入している人たち全体でお金を出し合うことで、被保険者の万が一に備える意味があります。幸いにして万が一の事態が起きなければ、かけてきた保険料は万が一の事態に陥ってしまった他の誰かのために使われます。同様に、介護保険もお金を出し合って誰かが要介護になった際に備えます。介護保険制度は誰かが介護を必要とした場合に、困ることなく介護サービスを受けられるようにしておく意味を持っています。
今後の課題
介護保険制度が導入されたのは2000年4月1日からですので、19年の歴史(2019年7月現在)しかありません。導入されてから歴史が浅いため、まだまだ完璧な制度とはほど遠いのが現状です。そのため、現在もなお、より良い制度へと改変していくために議論が続けられ、アップグレードされ続けています。持続できる制度へするためにも、現在抱えている課題をひとつひとつ解決していかなければなりません。
その解決すべき大きな課題が「財政難」であり、これが冒頭で述べた介護職の低収入の原因にもなっています。日本は高齢化だけではなく、少子化も進んでいることはご存知ですよね?この少子高齢化は、介護保険を利用する高齢者が増え、その負担を担ってくれる介護保険を支払う若者が少なくなっているということです。つまり、出ていくお金は増えるのに、入ってくるお金が少なくなるのです。この現状では、より一層出ていくお金を増やすことになる介護報酬の引き上げは難しいと言えるでしょう。このように介護職の低収入は介護保険制度の財政難という課題から生じている一面があります。
ここでは介護保険制度については簡単に説明しているだけですので、もっと知りたいという人は「公益社団法人 国民健康保険中央会」介護保険制度についての説明をご覧ください。